「うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!」

(ただ……ただこの子だけは、崇だけは見逃してやってください!)

「黙れ!」

(いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ)

「ダマレェェェェェェェェェェェ!」
 額を思い切り床に打ち付ける。

「はぁ……はぁ……」

 額から血が滴り落ちる。

「父上……」

 何かを求めるように力なく立ち上がる。

「父上……私は……私は、間違っていたのでしょうか?」

 すがりつくように櫓の手すりを掴む。

「私は……私は父上を失ったとき、本当に悲しかった……本当に許せなかった。だから……だからこそ復讐を誓い、今日まで戦い続け、そして今日、その恨みを晴らした……だが、だが!実際はどうだ!心のわだかまりは未だ晴れない!」

 両頬を涙が伝う。

「結局!……結局私のやったことはただ多くの家族の幸せを奪っただけだった!これが……これが本当に私がやりたかったことだったのか!?」

 手すりを何度も思い切り叩きつける。

「……教えてください、父上……」

 拳からも血が滴り落ちる。

「私は……何を間違えたのでしょうか?……何が間違いだったのでしょうか?教えてください父上……私の、最高の師よ……」

 


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