幾年か経って、私はある人に「その武を持って私の下で働かないか?」と言われた。
 たまたま私の狩りを見ていて、この腕を認めてくれたらしい。よく分からず にいたが、することもなく迷っていた私は言われるがままに従った。着いていく と多くの言葉を浴びされ、教えを説かれた。なにかの宗教らしいのだか、よくわからなかった。私にしてみればなんでもいいのだ。先祖のように名がある者になればいい、それはどんなに汚れた人の元でも。私の名をこの国が知ればいいのだ。
 私の武技を知ってか、頭領は私に白馬を与えた。今だに齢二十歳を過ぎていない私にしてみれば、破格の待遇だと言う。長槍の槍をこしらえ私は頭領に従い各地を賊のように転戦した。多くの戦で私は先陣に出て戦った、戦った後はよく記憶が曖昧になる。
 「お主風貌が似て…るな!」
 「確に…、まさに……殿そっくりでござ…ます」
 「よい…貌…な」
 「ま…に、………」
 「えっ?……」
 「おいっ!頭領がお呼びだぞ!」
 「(またあの夢…)わかったすぐにいく」
 昔からよく似た夢を見る。それはいくつ年をとっても見る夢だ。いつかこれと同 じことが起こるといつも思っていた。そんなことを思いつつ私は頭領の所へ急いだ。
 「これからはある人を崇めることにした。皆にはこの布を額に巻かせ目印とせい 」
 「黄巾…、承知いたしました」
 私の頭領は昔から人に影響される人だったが、とうとうなにかをしでだすつもり らしい。それが戦ならば、私には好都合であった。武名さえ上げれればよいのだ と…。


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