「呂布か…ふんっ…匹夫が…。まぁ良い。利用できる者は全て利用して、私が時代を造り変えてやる。まずは旬文若だな。」

男の姓は陳、名は宮。字は公台。混乱を利用して、自ら成り上がりを狙う野心家である。陳宮はゆっくりと立ち上がると先程大男が出て行った出口の扉を開けた。眩しい日差しが飛び込んでくると思っていたが、いつの間にか大降りの雨になっていた。

「雨か…良い、良い。これで奴らが戻ってくるのがまた遅くなれば、それも又良し。」

陳宮は子供の様な笑顔を見せて、背伸びをした。撲陽の空は死神を呼んでいた。


表紙へ