「何を仰るかと思えば・・・・だいたい荀令君は自害とか、病死とか云われているでしょう」

荀ケ様の死の真相は、私と仲の良い荀ケ様の娘婿陳羣さえ教えてはくれなかった。皆、何かあるに違いないと噂をしたが、祟りがあるわけでなく、実害の無い温厚な人の死の真相を探求することなど忘れ去られ今は、荀ケ様の良さばかり皆思い出話として出すばかりだ。

「私が荀令君を殺した。彼に薬を飲ませた」

政敵を倒した時と同じ笑み。まさか、これは父の演義ではないのか?俺は怖くなり、確認の意味を込めて聞いた。

「父上は、荀ケ様を尊敬なさっていたではありませんか?それに荀ケ様とは利害の不一致は無かったはず。殺す理由がないでしょう?」

「荀令君にこれ以上生きていられると私が困った」


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