『もし、あなたがずっと形を留めて置きたいものが醜く朽ち果ててしまうとわかったとき、あなたはどうしますか?』酒を酌み交わしながら、子供のような質問を私は、した。
『書物か何かですか?』酔ってもその明るさは変わらない。見ているものを時として恥らわせる、どうして自分は生きているのだろうと絶望さえも与える朗らかさ。
『いえ、生き物です』
『ははあ、お嬢さんの縁組か、それともお家の猟犬か何かのことですかな。
お嬢さんには適用できないかもしれませんが、猟犬でしたらなんとかなりますよ』

『どういうことですか?』私は藁にもすがる思いだった。
『死んだ華佗の作った麻沸散という麻酔薬、あれを多量に飲ませると犬猫は生前の姿を留めたまままるで時が止まったかのように死ぬそうです。

現に、王宮には麻沸散で殺した犬や猫がもう10年もそのまま生きている姿のまま眠っていますよ』

後の言葉は聞こえなかった。私は翌日より休みを取り、麻沸散の元となる赤い実を大量に取り、人一人永遠に眠らせる分の麻沸散を医師に作らせた」

喉が渇いたのか父は、茶を飲んだ。


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