「はい。戯参軍も流石に慧眼。こうお答えになりました」

棗祗はここで一拍を置き、そして戯志才の口調を真似て答えた。

「名将たる者に必要な第一の条件。それは部下を無駄に殺さない事です。殺す時はその死を必ず活かす事。これこそが、名将に必要な第一の条件と考えまする」

棗祗の話を聞き、夏侯惇は膝を打って笑った。

「おお、そうだ。それに違いあるまい!」

しかし棗祗は首を振る。

「いえ。私はこれでは不十分だと思います」

「何だ。又違うのか。お前も意地の悪い奴だなぁ。何が足らぬ」

棗祗の言葉に、夏侯惇は訊ねた。

「はい。部下を犬死させたく無いという気持ちは良いと思うのですが、しかしこれは配下の死を厭うてはいません」

「当たり前だろう。将にとって時に非情は必要なもの」

棗祗の言葉に、夏侯惇は口を尖らせて反論した。


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