「では名将とは、猛将や智将を越えたところにあるのだな?」
棗祗は答える。
「無論です」
「では、名将とは何だ?」
夏侯惇は真摯な気持ちでこれを訊ねた。棗祗は普段から正しい姿勢を、より正しくしてこれに答えた。
「名将とは、猛将にして仁将であり、驍将にして智将であり、雄将にして謀将である者。名将としての条件を有する、英雄としての資質を備えた能れた武官の事でありましょう」
「では、名将の条件とは一体何なのだ? そろそろ教えて呉れ!」
夏侯惇は真面目な気持ちで棗祗に乞う。それに棗祗は笑って竹巻を差し出した。
「反撃はこれからですよ、というのが私の答えです。曹州牧から東武陽を奪還せよとの書簡が届いております」