ホウ会・憧憬


「父こそ我が最高の師である」

 私は日頃から周りの人間にそう自慢してきた。それに合わせて

「いつか私も父のようになりたい」

と、周りの人間に語ってきた。

我が父の姓名はホウ悳、字は令明。私の知る限りの最大の英雄だ。

 

 

「父上の戦場でのご活躍をぜひお聞かせください!」

 幼き日の私は事あるごとに、父の側近に父の話をせがんだ。并州でのご活躍、西涼でのご活躍、いずれの話も血が騒ぎ、心が躍ったものだ。そしてその話を父上の前ですると、父上は決まって恥ずかしげに頬をかき、

「あまりもて囃してくれるな」

と言いながら、私の頭を撫でてくれたものだ。私はそれが何よりも嬉しかったのを覚えている。

 父に頭を撫でてもらうこと……それが幼き日の私にとって何よりも幸せだったのだ。


>>次項