一
ホウ会・憧憬
「父こそ我が最高の師である」
私は日頃から周りの人間にそう自慢してきた。それに合わせて
「いつか私も父のようになりたい」
と、周りの人間に語ってきた。
我が父の姓名はホウ悳、字は令明。私の知る限りの最大の英雄だ。
「父上の戦場でのご活躍をぜひお聞かせください!」
幼き日の私は事あるごとに、父の側近に父の話をせがんだ。并州でのご活躍、西涼でのご活躍、いずれの話も血が騒ぎ、心が躍ったものだ。そしてその話を父上の前ですると、父上は決まって恥ずかしげに頬をかき、
「あまりもて囃してくれるな」
と言いながら、私の頭を撫でてくれたものだ。私はそれが何よりも嬉しかったのを覚えている。
父に頭を撫でてもらうこと……それが幼き日の私にとって何よりも幸せだったのだ。