「父上……」
父の言葉に……というより、父の決意の眼差しに気圧されてそれ以上何も言うことが出来なくなってしまった。
「会……」
父は私の肩にそっと手を置く
「そう心配してくれるな、儂は負ける為に戦場に行くわけではない」
そして父は肩に置いた手で私の頭を撫でてくれた。
「父上……」
「では、行って来るぞ、吉報を楽しみにな」
父はそう言い残し、出発した。父の後ろ姿は実に堂々としたものだった。私はその姿が見えなくなるまで見送り続けた。
しかし、その後ろ姿を見ても心の内にある、漠然とした不安感は拭えなかった。
「父上……」
何故だろうか……何故だかわからないが、私の瞳から流れ出た雫が頬を伝った。