関崇・復讐の刃の下に


「我が祖父こそ我が関家の最初にして最大の誉れである」

 父上はよくいろんな人に、そう言って自慢していた。それと一緒に

「いつか私も祖父のような功績を挙げたい」

と言っていた。

 関羽雲長、父上が知るかぎり一番の英雄らしい。

 

 

――景元五年(264)某日、昼

「……」

 周りを見るとたくさんの人がいる。父上の話だと、この人たちは、みんな、ぼくと血のつながりがあるらしい。だけどみんなの顔は暗い。そしてみんなの腕と首に木の板がはめられている。もちろん、父上もぼくもだ。

(これから何をするんだろう?)

 そう思いながら周りを見ていると

「静まれ!」

と、高い所から大きな声が聞こえた。みんながそこに目を向ける。そこには立派な鎧を着たおじさんが立っていた。

「……ンンッ!」

 おじさんは一回せきをしてぼくたちを見下ろす。そして

「私はケ将軍配下の……」

と、何かをしゃべりだした。言葉使いがむずかしくて、ぼくには全然よく分からなかったけど。だけど、周りのみんなは一言も聞きのがさないように必死に聞いている。


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