三
関崇・復讐の刃の下に
「我が祖父こそ我が関家の最初にして最大の誉れである」
父上はよくいろんな人に、そう言って自慢していた。それと一緒に
「いつか私も祖父のような功績を挙げたい」
と言っていた。
関羽雲長、父上が知るかぎり一番の英雄らしい。
――景元五年(264)某日、昼
「……」
周りを見るとたくさんの人がいる。父上の話だと、この人たちは、みんな、ぼくと血のつながりがあるらしい。だけどみんなの顔は暗い。そしてみんなの腕と首に木の板がはめられている。もちろん、父上もぼくもだ。
(これから何をするんだろう?)
そう思いながら周りを見ていると
「静まれ!」
と、高い所から大きな声が聞こえた。みんながそこに目を向ける。そこには立派な鎧を着たおじさんが立っていた。
「……ンンッ!」
おじさんは一回せきをしてぼくたちを見下ろす。そして
「私はケ将軍配下の……」
と、何かをしゃべりだした。言葉使いがむずかしくて、ぼくには全然よく分からなかったけど。だけど、周りのみんなは一言も聞きのがさないように必死に聞いている。