「あなたのような武人が、なぜ賊の手下になっているのだ!」
 私はその問掛けに口が勝手に反応した。
「未だに齢二十歳を過ぎないが、この蒼天が崩れる時新たなる英雄が生まれる、その英雄に使えるためには賊になってでも名を上げ、配下になる必要がある。またその我が主君と戦うまで私はなんにでもなろう!」
 …???、私はなにを言っているのだ?自らが発した言葉に戸惑いを受けたが、私自身いつの間にかそう思っていたのかもしれない。私を指揮し、影響を与える人物、そうあの夢のような…。
 次の瞬間
「逃げろ〜!呉鄭殿が"孫堅"なるものにやられた!!逃げろ!逃げろ〜」
 頭領…、我が主君とも言えるべき人が…。また一人私の中で死んだ。うろたえてはいけない、そう!まだ私が讃える主君はこの世にいる。
「李通とやら、また会う時を楽しみにいたす!」
 出来れば、決着を着けたかったが逃げる者などで、よく李通が見えない。それになんだこの震えた手は?それほど頭領が死んだ事は私に影響を与えたと言うのか??? 意味も解らず逃げた。なにかに追われているかのように…。


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