長生はその惨劇を目にして、尚深く頭を落とし、陳喜に向かって許しを乞うと同時に、少年に行動を止めるよう懇願した。しかし、陳喜は少年がこちらを見て、自分がやっている拷問を楽しんで笑っているように見え、言い知れぬ不安と、背に立つ悪寒に恐怖を感じながら、さらに陳喜は剣を文遠の逆のこめかみに突き立てた。文遠が歯を食いしばる中、陳喜は少年から目を離す事無く、先程よりも強く速い速度で、逆斜めに剣を引いた。文遠の呻き声と、長生の怒りの声が響く中、陳喜はついに確信した。確かにあの少年は、自分がこの男を痛めつけるのを喜び、笑っていた。少し顎を引き、上目遣いの少年の顔は、確実に微笑んでいた。それは見た事もない妖しい笑顔で、陳喜は即座に感じた。「殺られる」と…。
「何か勘違いしているのだろうから、この際はっきりさせておこう。俺は敵に捕まる様な間抜けな男を助けに来たつもりはない。常山隠密衆、快慈。黒山賊に資金と武器を調達する貴様に天誅を下す。それが俺の命だ。」