少年が周りの異変に気が付いたのはこんな時だった。激しい雨の音と闘いに集中している間にいつの間にか、二人を囲むように大勢の人間が来ていた。しかしそれらは二人の誰かを応援する目ではなく、明らかに殺気に満ちた目をしていた。

 「おいおい…こんな邪魔が入るのか?これからって時に…悪いけど、邪魔するなら全員殺してから、また再開と行こうぜ。」

 少年は長生にそう告げると、近くにいた男に襲いかかろうとした。

 「いや、それは出来ん。彼らは一般人だ。彼らに危害を加えることは、俺には出来ん。」

 長生はそう言うと手にしていた木刀を投げ捨てた。

 「おいおい…お前まで冗談だろ?まだ分からないのか?今、やっておかないと、後悔するのはお前の方だぞ。」

 「いや、俺がこの町を出れば、後悔する事もない。」


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