「…私はとりあえずここに残り、時期を見て郡に仕官いたします。」

 公明らしいな、と長生は思ったが、彼ならば政治家として活躍できるし、自分が教えた武術だって、他の誰にも劣らない程、彼が努力している事を、長生は良く知っていた。

 「俺は、政治に携わるつもりはないから、しばらく安息の地を求め、歩いてみるよ。その内、気の合う仲間でも増えれば、侠の道に進むのも悪くないかな?」

 三人はそれぞれの未来を考えながら、この戦乱の世を顧みて、もしかすると自分達が敵同士になるかもしれないという、不安に苛まされた。しかしあえてそれを口にする者もいなかった。

 長生は意を決したように荷物を手にすると、これで別れだと言わんばかりに手を差し伸べた。


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