「…して計画はどこで実行すれば?」

 真っ暗な部屋の中で二人の男は小声で話していた。そう聞いた男は目鼻立ちのくっきりした見た目四十代前半の男。小声のつもりなのであろうが、地声が大きいのかあまりその意味を成してはいなかった。

 「一行の中に間者を忍ばせておりますので、彼らの足取りはこちらに筒抜けです。徐州を出るあたりで実行しましょう。少なくとも徐州にいる間に実行しなければ、何も意味はありませぬ故。」

 答えた男は頭が大きいのが特徴的であった。背が低いので余計に頭の大きさが目立つが、その頭はただの飾りではなく、何千何万という軍を自由自在に操る事のできる頭脳である事、百里先の相手に対して、謀略戦を仕掛け実際の戦以上の成果を上げることのできる頭脳である事は、目の前の男ならずとも知っていた。


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