「この計画さえうまく行けば、後はあの男次第で、エン州は手を拱いて我らを歓迎してくれるでしょう。」
背の低い男はそれだけ言うと部屋を出て行こうとした。長居は無用だ─まさにその様な直感を男は感じていた。背を見送る男は、元来心配性なのか?それともただ気が弱いだけか?はたまた計画そのものに自信がないのか?部屋を出て行く背の低い男とは違い、何か落ち着きのない表情で彼を見送ろうとしていた。
「こ・公台殿!…本当に信じて良いのですね?」
背の低い男は、部屋を出るために開けた扉をもう一度閉めて、静かに口を開いた。
「そう簡単に人を信用してはいけませぬ。私は自分以外の何者も信じてはいません。私だってあなたを裏切る可能性はありますし、あなたもいつ私を裏切るか分かりません。ただ敵となったら、完膚なきまで叩き潰す。それだけの事です。」