そう言ってもう一度扉を開けると今度は確かに部屋を出て行った。不穏な空気の流れる中、残された男はさらに強い疑念を抱いていた。が、やがて意を決したように、暗闇の中で呟いた。
「もう後戻りは出来ないぞ。食うか食われるか…公台の言う通り、寝首を斯かれる前に、わしが食ってやる。」
暗がりなのは部屋の中だけではなかった。
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