亮の作った料理は想像以上の味であった。豪勢な料理とはとても言えなかったが、しっかりした味付けで、満足のいくものであった。ましてや作ってくれたのは戒と同じくらいの少年であるのだから、これで満足しないなら罰があたるところであろう。

 「そうそう。この町の人達は冷たい人ばかりだったでしょ?不思議に思いませんでした?」

 突然の亮の問い掛けに、待ってましたとばかりに蘭が答えた。

 「だよね?何か訳があるの?」

 均が隣で心配そうに兄の顔を覗いていたが、亮の方はそれに気付いているのかいないのか、全く気にかける様子もなく、淡々と話し始めた。

 「先般、この町で一人の元役人家族が殺害されました。姓は曹、名は嵩。曹東郡の父親です。殺害したのはこの町の大人ほぼ全員と言っていいでしょう。」

 「町の人間全員?なぜそんな事を?」

 蘭は興味深くその話を聞いていた。戒も趙神もその話に食い入る様に聞き入っていた。


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