「その前に、ある人物がこの町を訪れ、曹一家を殺害した者に大金を贈呈すると。大人達は毎晩の様に話し合い、ついに結論を出しました。やる気のある者は全員で実行し、賞金は山分けしようと。」

 「ひえ〜…酷い話しだなぁ。で、殺害を頼んだのはどんな人なの?」

 戒は亮を少し警戒していた。あの奇抜な格好に端正な外見…少なくともそれが一種の劣等感であることに本人は気が付いていなかった。

 「それは分かりません。恐らく名乗っていないのではないでしょうか?しかし、すぐに分かるでしょう」

 亮は意味ありげにそう呟いた。

 「それよりも皆さんの命が狙われているのはご存知ですか?」

 亮はその過激な言葉の内容とは裏腹に、相変わらずの笑顔を浮かべていた。

 「はぁ?何で俺達が殺されなきゃならないの?懸賞金が掛けられるような事は何も…」

 戒が言葉を途中で止めたのは、他でもないあの洛陽での虐殺を思い出したからだ。そっと趙神の顔を見てみたが、知ってか知らずか、亮の言葉を楽しみに待っている風であった。


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