地下道の中は、深さが三尺ほど、大人一人でも余裕で通れる高さがあった。さすがに湿り気は隠し切れなかったが、周りは綺麗に掘られ、丁寧に火を灯す為の台まで数箇所に用意されてあった。亮の話では弟と二人だけで二年を掛けて掘ったらしい。二年前と言えば、ただいじめられていただけだった戒にとっては衝撃的な穴散歩となった。

しばらく歩くと降りたとき時と同じ様な階段が目の前に現れ、そこを登ると、林の中に繋がっていた。確かに亮の家の裏には林があった。どうやらそれほど長くはない地下道だったようである。しかし、子供二人が作った物である事を考えれば、立派な地下道であると言わざるを得ない。

「いやぁ驚きました。まさに天才少年ですね。」

趙神は最後に穴から出た後、亮に向かってそう言いながらまた笑顔を見せた。

「あらゆる事を想定し、備えを怠らなければ、どの様な事にでも状況に応じて対応できるという事です。」

「なるほどね…ではこれも想定内ですか?」


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