趙神は走り寄ってきたかと思うと、そのまま立ちすくみ呆然とする彼らをそう言って追い越し、門の前に立つ四人の兵に向かって走って行った。その時には既に背中の不知火は抜かれ、怪しい青白さを浮かび上がらせていた。趙神は兵士の前まで走ると、止まることなく彼らの前を通り過ぎた。否、正確にはそう見えた。しかし四人の兵士は槍を構えた格好のまま、通り過ぎた趙神を振り向くこともなかった。門の前で足を止めた趙神は不知火を背に戻すと、門を勝手に開け始めた。と、四人の兵の首が微妙に体からずれ始め、ついには激しい血しぶきと共に、体から滑り落ちた。

恐怖に泣き始めた均の手をしっかり握った亮は、先程までの笑顔を見せる事もなく、厳しい顔で門を開けようと力む趙神の背を見ていた。


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