「張陳留殿にその実弟、張超殿の他、名だたる名士達が我々の味方に付いております。エン州の各郡も将軍の名声を聞き、既にこちらに寝返る約束を取り付けております。今私怨の兵を徐州に挙げ、曹操自ら出陣しておりますので、いとも簡単に反乱は成功するでしょう。まずは密かにケン城に使者を送り、我々に兵を送って欲しいとしたためましょう。さらに手薄になった奴らを内と中から攻めれば、ほぼ無血でかの地は我々の物になるかと。」

「ふんっ。つまらぬな。いくら机上で戦を描いても、所詮策は策。血を見ない戦など武人にとって何の魅力があろうか?お前の描く戦などに乗るつもりは毛頭ないが、いないものは仕方がない。まずはお手並み拝見と行こうか?」

暗がりの部屋の中に、二人の男はいた。腰を低くして、話している男は一般の成人男性に比べ背が低いのが気になる。そのせいか、頭が異常に大きく見える。話し方からも彼の育ちの良さや、聡明さが良く分かり、恐らくは政治家か参謀の類を天職としている人物であろう事は容易に想像できた。


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