一方、その向かいに座る男は、先の男とは正反対に、七尺以上の背丈に厚い胸板、彫りの深い顔は異国の血が流れているせいかもしれないが、特徴的な顔と大きな体格をさらに引き立たせていたのは、彼の派手な衣装だった。真っ赤な服の左の胸には虎、右の胸には龍の刺繍が煌びやかに施され、中でも頭に刺した羽の様な物は、椅子に腰掛けている彼の背中を遥かに越え、足元まで垂れ下がっている。背中には目の前の男と同じくらいの背丈の在る弓を背負い、右手には奇妙な形をした戟を持っていた。

「お言葉ですが、兵法には戦わずして勝つことこそ最も上策だと…」

「ふんっ。もう良い。俺は行くぞ。今回はお前の言う通りに動いてやる。しかし、もし失敗したら…お前の首を刎ねるか、以降俺の指示通りに動いてもらうかのどちらかだと知れ。」

大男はそう言うと立ち上がり、部屋を後にした。立ち上がった男の姿はまさに雄大で、腕などは女性の体より太いだろうと、小男は冷静に考えていた


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