「その歪んだ性格は相変わらずみたいね。」
紫音は投げられた戟を追う事もせず、趙神を避けるように遠回りして、漢匠の方へ近付いていった。
「すまんな。助けを乞うつもりはなかったのだが、このままではお前らに殺される前に餓死してしまいそうだった。それはお前らの本意でもなかろう。」
またそう言って趙神は苦笑いした。
趙神の食事の姿を見守るつもりもなかったが、今更隠れている必要もなかろうと、漢匠は思い、彼の前に腰を下ろすと、何かを喋ろうとした。しかしそれを遮る様に趙神が逆に口を開いた。
「世の中はどうなってるんだ?」
趙神も漢匠に顔を向けるわけでもなく、そう問いかけた。余程腹が減っているのであろう、むしゃぶりつくせいで喉が何度も詰まったが、漢匠の袋から見えていた、竹筒を勝手に取り出すと、匂いを嗅いだ後、趙神は一気に水で流し込んだ。