漢匠はそう言うと立ち上がり、黒頭巾を頭から被ると、口元をまた隠し、緑の縁に彩られた目だけを出す格好になった。

 「分かった。しかし…」

 趙神はそう返事をすると辺りの林を見回した。漢匠は少し呆れた顔をしたのだが、もちろん表情は誰にも分からなかったことであろう。

 「案ずるな。あれも仕事は仕事で割り切るはずだ。」

 漢匠はその言葉だけを言い残し、音もなく趙神の目の前から消えていった。趙神は信用ならんという顔をしていたが、今は作戦に集中する事だけを考えようと思い直した。


>>次項