劉備が胸を張って、自分達に任せて欲しいと言おうとした、その時、一人の衛兵が大声を上げながら広間に入ってきた。
「至急、曹車騎将軍様に申し渡します。」
どこから走ってきたのか、息は上がり、返り血なのか、自分の血なのか、顔には血が飛び散り、たった今戦場から逃げて来た様な顔をしていたため、諸将は驚き、皆立ち上がった。
「何事だ!今は厳粛な会議の最中であるぞ。」
諭すように気丈な態度で奇声を上げたのは、荀攸であった。一般の兵ならず、民間人にまで影響のある彼の声ならば、普通なら誰もが黙って下を向く場面である。
「申し訳ありませぬ。しかし、門を破った若い男が、将軍に会わせろとの一点張りで、こちらへ向かっております。拒否しましたが…我々には止められぬ様な動きで…誰も殺されてはおりませぬが…。もうすぐそこに…。」