曹操は遠い目で、まるで子供の様な笑顔を見せながらそう笑った。各将は心得たとばかりに、一斉にその場からいなくなった。

「虎痴よ。お前は奴に勝てるか?」

曹操は誰もいなくなった広場で、後ろを振り返るわけでもなく、そこを発つために立ち上がって、後ろの大男に向かって尋ねた。

「…どうだろう?僕も痛い思いをしなくちゃいけないと思うけどね」

大男の喋り方は独特のものであった。まるで子供のまま体が大きくなった様な、そんな感じさえさせた。虎の様な力強さを併せ持ちながら無垢な大男。虎痴という愛称には、そんな意味が込められていた。

曹操という男の本性を趙神はまだ甘く見ていた。


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