「お前という男はどこまで無鉄砲な人間なんだ?一人であの曹操軍に乗り込み、直談判など聞いたことがないぞ。」

漢匠は焚き火を間に趙神と向かい合わせに座り、その日の昼間、彼が取った行動を非難した。

「仕方ないだろ?ああでもしないといつまで経っても埒が明かないし、下ヒの門が閉まったままの状態では、何も出来ないんだから。」

趙神はそう答えて、両手を頭の後ろに廻し、そこに寝そべった。決戦を二日後に控えてこの余裕を見せるところあたり、彼らしいと漢匠は思った。

「十分に気をつけた方が良い。曹操は何やら兵を二手に分け、北と東で河を利用して何かを企んでおるようじゃ。奇抜な策を好む奴の事…何をしてくるか分からんぞ。」

「奴らが何をしたって、闘うのは俺と呂布だ。その邪魔だけしてくれなければ、問題はない。」

漢匠の忠告に耳を貸す素振りも見せずに、趙神はその体制のまま、目を瞑り始めた。


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