「何年ぶりだ?こんな所でお前に会うことになるとはな。で、どうする?ここで殺しあうか?」
彼とは対照的に殺気に満ちた言葉と態度で、挑戦的に趙神は座ったまま彼を見上げた。
「ふっ、相変わらずですね。今はあなたには生きて暴れてもらった方が一族のためです。ここでも呂布を相手に一暴れすると聞きました。呂布にももう少し粘って欲しかったのですが、このままでは埒が明きませんしね。」
「気にいらねぇな。まるでお前の手のひらで踊らされている様なその言い方も…。」
趙神に笑顔はなく、ゆっくりと立ち上がると背中の剣を抜き、切っ先を目の前の男に向けた。
「そんな事はないでしょ?あなたは一族の期待を裏切り、大罪を犯して里を見捨てたのですから。」
趙神が歯を食い縛っている事は、漢匠や紫音にも良く分かった。なかなか言い難い事を、趙神を前にして、臆することなく話す青年は彼らの頭首であった。
「…で、どうするんだ?やるのか、やらねぇのか?」
趙神は腰を落とし、不知火の切っ先を地に付け、独特の構えで、男をさらに挑発し始めた。