「おやおや…あなたに親父と呼ばれる事を私の父は望んでないと思いますが…。それとも、今更兄として弟に注意をしようとしているのですか?」

趙神は何も言えなくなったが、男を睨む目だけは外すことはなかった。その趙神を助ける様に漢匠が口を挟んだ。

「子竜様、今は彼に警告だけをしておきましょう。彼の行動は我々が厳重に監視します故に…」

そんな漢匠を見て、子竜と呼ばれた男は、うすら笑いを浮かべながら、また立ち上がった。

「言い負かそうと思ったのですが、ここは漢匠に免じて、大人しく去りましょう。とにかく、あなたにはもっともっと暴れてもらって結構です。ただし、あなたを邪魔だと感じた時は、躊躇無く刑を執行しますので、そのつもりで。」

そう言って男は軽く頭を下げると来た道をそのまま帰ろうとした。しかし、趙神はそれを許さなかった。

「お前も覚えておけ。俺には俺のやるべきことが在る。その為には、どんな奴が立ちはだかろうとも俺は妥協しない。例えそれが、昔の仲間であろうが、弟であろうが…。」


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