呂布は趙神の殺気と不気味さに怯む事無く、そう言いながら方天画戟を頭の上で回し始めた。

「この漢、私が引き受けましょう!」

そんな呂布の期待を裏切るように、高順が趙神に向けて、横からいきなり槍を突き出した。趙神の真後ろに位置した高順の立ち位置から考えれば、その第一手は必ず致命傷を与えられる。高順はそう思っていた。しかし、彼の槍は空を突き、趙神の体はいつの間にか、先程より右寄りに避けられていた。

「体を慣らすには丁度良い力がありそうだな。」

趙神はそう言うと腰を深く落とし、不知火の切っ先を地面につけた。高順は目の前の漢の見たこともない構えと、尋常ではない殺気に、「殺らなければ殺られる」そう感じ、先手を打とうとした。しかし、そう思った時には足元から青白い切っ先が一直線に延びてきた。咄嗟に高順は飛び退いたが、交わしきれずに不知火は高順の顎から額にかけて、真一文字に皮をえぐった。

「ほう、俺の先手を今の動きで皮だけに留めるとは…次の一手が楽しみだよ。」


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