「呂奉先、次はお前だ。」

水滴が高順の血と一緒に滴り落ちる不知火の切っ先を、呂布にゆっくりと向けた趙神は高順との激しい戦いの後だと言うのに、息を乱すこともなく、まるでこの状況を楽しんでいるかのように妖しく笑いながら、そう言った。

「九獣の神器を追う妖刀・不知火。まさか本当に存在していたとはな。まさに俺の物語の終章を飾るに相応しい青年よ。我が相棒の最後の餌食となるがいい。」

呂布は見栄をきった後、方天画戟を一旦後ろに振り、また鋭く趙神のいる方向に押し出した。その反動で、刃の下に付いた白く長い羽は舞う様に鮮やかに戟の周りを踊り始めた。驚くべきことに、それらは戟の動きが止まった後も、地面に垂れる事は無く、まるで鶴が羽を広げてこれから飛び立とうという格好の様に、重力に逆らって左右上下に広がった。

「鶴の神器…方天画戟。最も鮮やかで力強く、何よりも他の追随を許さない圧倒的な攻撃範囲…初めて見たが、噂に違わぬ鮮やかさだな。」


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