と──。
 文鴦の股間に、やさしい感触とぬくもりが触れた。
 目の見えぬ文鴦にも、それが、美しい華蓉の、白く透けるような指であろうことはわかった。
「文鴦さま!よろしいですね?」
 今度は、ぎゅっと強く締めつけられた。
「おお……!!」
 呻きを洩らすかれをもてあそぶつもりか、今度はすっと手が離れた。
「お願いを、お聞きくださいませ!わたくしと、父の無念を、貴方さまのお力で……、どうか、どうかお願いにございます!」
「…………」
「逆賊司馬師の首、挙げてくださりませ!そのときは、わたくしはあなたさまの妻として、身も心も生涯捧げまする!」
「か、華蓉殿を、……この身に抱けるのであれば……」
 息苦しげに悶えながら、文鴦は、ついに屈した。
 指が、手が触れただけで、あれほどの快感が電光となっておのれのうちを迸るのである。この先に待つ、さらなる悦楽は、どれほど大きいものか……淫らな期待は、かれの理性を蹴散らしたのである。
 また、四肢を緊縛され、目隠しによって視覚を封じられていることも、かえってかれの昂ぶりを激しくしたのであった。
この宵──。
 文鴦は、快楽の渦にのまれ、何度も果てて、飽くことを知らなかった。



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