二
「蒼天討つべし、蒼天討つべし」
多くの兵の中には農民や飢民がいた。なにが目的かよくわからなかったが、戦だ。戦えばよい…。
「我こそは李圭!この賊ども討ちとってくれる!!!」 ちょうどよい所に将軍らしき男が名のっていた。これはよい…
「我が名は陳到!私が相手いたす」
「ふん!お前のような若僧に私の相手が務まるまい」
そこまで言うのであれば、少しは腕があるのであろう。
「まずは勝負!」
私は直ぐ様近づきひと突きした、これは流されたが直ぐ様相手は反撃に移れていない…、その程度か。反撃の手が遅い相手に少し嫌になったが、嫌な奴ほど直ぐ様殺してくれよう…。流された槍をそのまま反回転させ胴に当て、動きの止まった相手の首をそのまま討ち取った。
「この程度か…、これ以上の武人はいないのか!」
周りは静まり、皆私を見ていた。見るがよいこれが私、陳到である!
「さすが陳到。お主がいる限り、負ける事はなかろう」
「あの程度の者ならば、相手にもなりませぬ」
あの後、官軍は総崩れになり退却し、盛大に祝いが挙げられていた。官軍の戦利品を売り、金はいくらでもあったからだ。
「そういえば陳到、主はいくつになる?」
「私はまだ十八にもなりませぬ。」
父が死んでから自ら年を数えるのはやめた。それはちょうど父が四十四になった 時に死んだからだ。ちょうど年をとる時に死んでしまうなんて…。自らが年を数えていくのが恐くなったからだ。
「お前のような若い者が、この国を変えていくのであろう。私達は年をとりすぎたのぅ」
「あはは、そうだのう。こうやって騒ぐしかないからなぁ」
「ははは」
皆笑っていた、なにか昔忘れてしまった事だったような気がした。