暫く待ったが、特に将軍からの返事はなく、 私は話を疑問に切り替えた。
「誠に無礼な物言いになりますが、私は、一国の君主としての技量は陛下よりも曹丕の方が優れていたと思います。将軍に対する扱いもまた然りです。ですが、もし今お話致しました私の推理が的中しているならば、将軍の御心は今だ蜀にある事になります。一体、何故に今だ陛下を御主君と仰がれるのです」
その問いには答えず、将軍は立ち上がると侍女を呼び酒と肴を持って来るように命じた。
そして、私を見据えると
「其方には暇を出す」
と短く告げた。
私は奇妙な感覚に襲われた。初めは頭が真 っ白になった。そして直ぐに悲しみと後悔が押し寄せた。将軍に推理を話すべきではなかったとも思った。
しかし、また直ぐに違う考えが浮かび上がったのだ
『もしかしたら、私の推理が当たっていたが為の反応ではないのか』
と云う風にである。
それから一晩、将軍と呑み明かしたが、結局その考えが当たっているのかどうかに、将軍が答えて下さる事はなかった。