「…何だかお腹がすいちゃったね。二人とも今日は私の料理の番だから、楽しみにしててね♪」
彼女はそう言うと、返事をしながら部屋を出て行った。二人は彼女から解放された喜びに浸るかと思われたが、同じような動作でがっくりとまた肩を落とした。
「はぁ…また蘭姉の料理かよ…」
「…奥様が蘭さんの料理を客に出させないのが分かりますね…」
二人はそう言うと、またため息をつき、肩を落とした。ふと、青年は思い出したように、戒に尋ねた。
「そう言えば…戒さん、良くあそこから飛び降りましたね。なかなか格好良かったですよ」
戒は待ってました、とばかりに顔を上げ、誇らしげに胸を張った。
「でしょ?いやぁ飛んでみたらどうって事はなかったよ。まぁあのくらいの高さで、自尊心がどうこう言ってるようじゃぁ、趙さんは一生居候で終わりそうだな」
戒はそう言って高笑いした。屋根裏で臆病に震えていた少年の言葉とは思えない。