「ちょっと!このまま見捨てるおつもりですか?後生です。私達をお助け下さい」
その少女の声に、趙神の足は一旦止まった。
しかし、彼の口から出た言葉は彼女達を更なる絶望のどん底に落とす様な一言だった。
「女であろうが、子供であろうが、はなっから助けを求める者に、この世を生きていく資格などない。なぜ、俺が手を貸さねばならぬ?それよりも大事な仕事が俺にはある…」
彼はそう言うとまた歩き始めた。本気で去ろうとする趙神をまた足止めさせたのは、大きな笑い声と共に発した呉匡の言葉であった。
「これは面白い。助けに来たと思えば、勘違いだと去っていく。仲間を殺されておいて、勘違いでしたか?どういたしまして…なんて笑って済ませる馬鹿がいるか?野郎共、やっちまえ!」
趙神はその言葉でもう一度振り向いた。周りの兵士達はまた剣を手に身構え、今にも飛び掛りそうな殺気を立て始めた。