趙神が南門から外に出る時には既に洛陽は焼け野原になっていた。炎は洛陽の住民を早く外に出す様に後押しをしているかの様でもあった。

 剣は既に背中に戻され、元の錆びた剣に戻っている。少し息が上がっているのは、それだけ真剣に走ってきたという証拠でもあろう。しかし趙神の目の前に広がる光景は、自身が予想した最悪の事態であった。

 一目で賊と分かるようなみすぼらしい格好に身を包んだ男達が二十人程度。何かを囲むように円をなして騒いでいた。その周りにはまるでゴミを棄てるかの様に死体が山積みにされ、その殆どが服まで剥ぎ取られていた。彼らの円の外には抵抗する事をやめた老人や子供、裸にされ弄ばれた後の女性らが、泣く事も忘れ途方に暮れていた。


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