「今から私達の旅の規則を発表します。」

 二人は同時に彼女の方を向くと、何故か緊張した顔つきになった。何か言い知れぬ嫌な予感が二人を包んだのであろう。

 「まず、役割分担を決めておくから♪戒は食材を探す担当。もちろん危ない事は駄目。ちょっとでも危険な気がしたら、すぐに諦めて。いい?それから趙さんは洗濯担当。あっ!私の物まで洗おうとか厭らしい事を考えてたでしょ?残念!自分の分は自分で洗いますから、男二人の分を担当して。不潔なのは嫌いだから。二人とも分かった?」

 矢継ぎ早に話し始めた彼女の言葉は、同意を求める形ながらも、返答を待つ感じは全くなかった。趙神は大方の予想はついていたが、一応恐る恐る尋ねてみた。

 「あのぁ…蘭さん、蘭さんは一体何の担当に…?」

 「私は料理担当に決まってるでしょ?私以上にうまく作れる人がいる?」

 こいつの味覚は絶対におかしい、と戒はこの時確信した。趙神の予想は見事に当たり、がっくりと肩を落とした。


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