「次に趙さん。私達は趙さんの事を知らな過ぎるわ。これは旅の同行人として致命的な欠陥だよね。教えて欲しいの趙さんの事を。何でもいいから」

 今度の問いかけは戒の時とは明らかに違い、懇願するような話し方にも思えた。戒も同じ事を考えていたから、実に興味津々な表情で趙神の方を見上げた。趙神はいつもより少しまじめな顔になり、しばらく黙った後、ようやく重い口を開き始めた。

 「う〜ん…何から話して良いものやら…子供の頃の事は勘弁して下さい。自分自身も思い出したくない過去がありますから…」

 話が長くなるかもしれないと感じた蘭は、じっくり聞くためにその場に腰を降ろし、二人にもそうするように諭した。

 「いいわ。今話せるところまで話して。あなたが探している物って何なの?」


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