「僕が探しているのは『九獣の神器』と呼ばれる、九つの武器です。秦の始皇帝は、自分を暗殺者から守るために九人の優秀な鍛冶屋に九つの武器を作らせました。一人一人に獣を見本にせよ、とだけ言い渡し…。長い時間を掛け、九人の鍛冶屋は九つの武器は同時に献上するため、始皇帝に謁見しました。しかし、始皇帝はその武器で鍛冶屋全員の命を奪ったのです。それは作り手の魂を吸収させて最終的な完成型とする、最初からの策略でした。結果、九つの武器は『九獣の神器』と呼ばれ、最強の武器となり、屈強な九人の戦士に預けられたのです。しかし実は始皇帝は、この九人の戦士によって暗殺されました。始皇帝死後もこの武器の持ち主達は互いに傷つけあい、時代を翻弄する人物の傍に必ずいずれかの武器がありました。私は尚も混沌を求め続ける呪われた九つの武器を探し、それらを永久に封印せざるを得ない運命を背負わされました。心の中の死神に…です。」
少し抽象的ではあったが、ようやく彼の本来の目的が分かった事で、二人には納得できる部分も多々あった。どうやら九獣とは、龍・虎・蛇・鶴・鷹・猿・豹・熊・犬を指すらしい事も趙神の口から説明された。