腕を組んで、じっと前を見据えていた孫堅が突如言葉を発した。
「策よ」
「はい。」
「今度の戦、何故初陣を申し出た?」
「今度の相手は、劉表。
父上と旧知の仲である二人の行く末を見届けたかったからです。」
「ほう。」
「それに、私ももう十八になります。
まだまだ子供とはいえ、男として一人前を志すときであります。
私は、虎の息子として勇を示さねばなりません。」
「なかなかいい心構えだ。
だが、まだまだお前は虎を名乗れんよ。
この俺がいるからな!ハハハハッ!」
ぽんっ、と孫策の肩を叩く。
孫策はぐっ、と密かに拳を握った。
悔しい。
その想いが、握られた手の中にあった。