第三章


そうだ!
俺が孫家を背負って立たなきゃならないんだ!

父が落命したというのに、孫策には妙な高揚感があった。

悲しんでる暇なんか無い。
いや、悲しむような実感が湧かない。
いずれにせよ、速やかに孫堅の遺体を引き取ってこの荊州を去る必要があった。

「交渉に立つ者はいないか!」

一気に幕舎内の空気が沈んだ。
敵方劉表にとってこの上ない好機という時に、わざわざ自ら首を差し出すような真似ができる者はいない。


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