香ばしい匂いが鼻に届くと、とたんに腹の底がきゅうっと縮まった。
カリカリに焼かれた鳥の皮が目の前に出されて、
孫策は思わず口の中が唾でいっぱいに潤う。
遠慮なしに手を伸ばしてかぶりつくと、じわっと喉の奥まで旨味が広がった。
「公覆、まさかお前が獲ってきたのか?」
「なあに、狩りなんぞ小間ごとにもなりませんわい。
若!食べ盛りですからしっかり食べませい!」
黄蓋も孫策にならってガブリと豪快にかぶりつく。
もっしゃもっしゃと咀嚼するのに合わせて、
好き勝手な方向に伸び切った口ヒゲが小刻みに動くのが思わず孫策の笑いを誘った。
孫策が破顔したのを見て、黄蓋はニカッと笑ってみせる。