「そうです若様!
いつも気を張っていてはいざ戦となったときに身が保ちませんぞ!」
父という大きな存在を亡くしたこと。
そして課せられた孫家の家督という運命。
それらに負けないようにきつく拳を握るけど、
父を亡くして惑うのは俺ばかりじゃない。
黄蓋や韓当らだって、父の悲報を受けたとき泣いてたじゃないか。
そんな黄蓋の気遣いと気丈さに、孫策は零れそうになる涙を必死に押し止めた。
「じょ…襄陽城へ行った桓楷はどうなったんだろうな!」
「軍吏ですか…劉表自体は意気の無い只のじじいです。しかし…」
「しかし?」
涙を堪えきった孫策が言葉を繋ぐ。