今度が初陣の孫策にとって、人の死体をまともに見るのは今日が初めてだった。
それがまさか、自分の親になるなんて。
胸の中で暴れだすほどの脈の勢い。
なのに手先は痺れるようにひんやりする。
拳をぎゅっ、と握る。
よし、震えはもう無い。
もう一度しっかり棺の蓋に手をかけ、その重さを感じながらゆっくり開く。
白。
血はもう拭き取ってあるのか、白地の布で孫堅の体は覆われていた。
ゴトン、と蓋を脇に置き、確かめ合うかのように孫策が黄蓋らと目配せすると、孫策はより一層痺れが強くなった腕で白い布を取り払おうとする。