『最後は天も見離したのだろう、落石にあって不様に逝ったわい。』
棺いっぱいに詰められた塩の中に横たわる孫堅の体。
大きくひしゃげた頭蓋。
顎は曲がり耳は千切れ、
鼻や唇はどこに付いているのか判らなかった。
ぽっかりと大きく割られた孫堅の頭蓋の中には、
黄色い乾いた豆腐のようなものが僅かにこびりついている。
目玉がはめ込まれていたと思われる切れ目には、
白い肉の紐がちょろりと
のぞくだけだった。
こんな頭で孫堅だと判るはずがない。
しかし、申し訳程度に残った装具の切れ端。
その煌びやかさが、大将たる人物のものだと主張していた。